シベリア鉄道旅行記 更新中です。

眼鏡が死んだ

眼鏡は壊れるものだと思っていたけど、今日、僕の眼鏡は死んだ。

きっかけは、ほんの一瞬だった。
鼻あての位置が気に入らなくて、少し直してやろうと指先に力を込めようとしたその瞬間、根本からポロッと外れた。
長いこと掛けてきたものだし、仕方ない、もう片方も取ってそのまま使おう。
そうやって、もう片方の鼻あてを外した。

鼻あてがなくなると鼻にかかる位置がずれる。
耳に掛かるつるの部分を直そうとしたら、本当に、あっという間にポキっと折れてしまった。

呆然として、もう一方のつるを少し調整してやろうとしたら、
今度はその端が欠けた。 5年以上という長い年月が過ぎ、 あらゆるパーツはその柔軟性を失っていた。
鼻あてと片方のつるを欠いたそれは、死んでいた。

そうして、眼鏡の死骸ができあがった。
殺したのは僕だ。
良かれと思ってしたことがすべて裏目に出たのだ。

その後も何食わぬ顔で日常を送った。
顔に死骸を引っ掛けて。